背景・課題

対象となったのは、長年にわたって個人ユーザーの情報発信を支えてきた老舗のWebホスティングサービスです。FTP・CGI(Perl/Ruby/PHP)・MySQL・独自ドメインなどの多様な機能を備え、多数のユーザーアカウントを収容する共用基盤で運営されています。今回、システム基盤のコストや拡張性といった課題に対応するため、新たなクラウド基盤への移転が求められていました。

プロジェクト概要

対象サービス Webホスティングサービス
作業内容 既存クラウド基盤から新クラウド基盤へのシステム移転(設計・構築・移行・運用引き継ぎ)
工期 約1年

対応内容

FTP・CGI・データベース・メール・独自ドメインが複合的に絡み合う共有ホスティング環境を新たなクラウド基盤へ移転するとともに、単純なリフト&シフトにとどまらず、アーキテクチャの最適化も実施しました。

  • 共有ホスティング環境の完全移行
    多数のユーザーアカウントを収容するホスティング基盤を、ユーザーごとのデータや設定を維持したまま新基盤へ移行
  • 複合プロトコル・機能への対応
    FTPアクセス、CGI(Perl/Ruby/PHP)、MySQL、.htaccess、独自ドメインなど、複数のプロトコルと機能が混在する複雑な環境に対応
  • データベースのマネージドサービス化
    一部データベースをマネージドDBサービスへ移行し、運用負荷の軽減と可用性の向上を実現
  • 計画的なダウンタイム管理
    影響範囲を最小化する切り替え計画を策定し、メンテナンスウィンドウ内での移転を実現
  • 品質保証プロセス
    移行後の動作検証・負荷試験を実施し、品質を確認した上で本番切り替えを完了

成果

  • 長年の歴史を持つ大規模サービスの基盤刷新
    長年稼働してきたシステム基盤を、サービス継続性を維持しながら新クラウド基盤へ移転
  • アーキテクチャの近代化
    DBのマネージドサービス化により、運用負荷を大幅に軽減
  • セキュリティ・品質の向上
    CGI言語の最新バージョンへの対応により、セキュリティリスクを低減しサービス品質を向上
  • 将来的な拡張性の確保
    新クラウド基盤への移転により、今後のスケールアップ・機能拡張に対応できるインフラを実現

開発担当者からのメッセージ

この移転で最も気を使ったのは、長年にわたって蓄積された利用者のデータと従来の使い方を損なうことなく、基盤だけを新しくすることでした。共有ホスティング環境では、各ユーザーが独自に作り込んだCGIが無数に存在し、その全てを事前に動作確認することは現実的に不可能です。だからこそ、個別に確認して回るのではなく、既存の挙動との互換性をソフトウェア面で維持できる設計とすることで、「今動いているものは今のまま動く」状態を担保しました。また、現行サーバーの構成を基準に新基盤に必要なスペックを見積もり、想定される負荷に確実に耐えられることを検証しています。さらに、移行を機に一部機能をマネージドサービス化しました。難しかったのは、マネージド基盤がモダンであるがゆえに、従来は許容されていた一部の挙動がそのままでは成立しなくなる点です。互換性を優先して古い仕組みを温存するのではなく、利用者への影響を見極めた上で、仕様そのものをモダンな形に作り替える判断をしています。単純なリフト&シフトにしなかったのは、ただ移すだけではなく、この先も使い続けられる基盤にすることが目的だったからです。